PETER FALK as COLUMBO

一人の俳優と一つの役がこれほどまでに結びつき、なおかつ世界的な名声を誇っている例は、 まれです。００７も水戸黄門も役者がかわりましたし、寅さんの知名度も世界的に見れば 「コロンボ」の足下にもおよばないでしょう。

テレビシリーズのパイロット版となった「殺人処方箋」（Prescription: Murder）は、 本来舞台劇であり、そこでコロンボ役を演じていたのはアカデミー賞俳優 トーマス・ミッチェルでした。
彼が1962年に他界していたため、コロンボ役のオファーは他の俳優にせざるをえなくなり、 最終的にピーター・フォークの元に回ってきたのです。

Profile

(C)Monami(Tutti)

1927年9月16日、ニューヨーク生まれ。
幼い頃に腫瘍で右目を失う。
大学卒業後、予算局に勤めていたというピーター・フォークが俳優への転身を図ったのは 28歳の時。初舞台は２年後のオフ・ブロードウェイだった。
1958年、Wind Across the Everglades で映画デビュー。
義眼というハンディキャップを逆に利用して、独特の味を出している。
1960年『殺人会社』の殺し屋役と、1961年『ポケット一杯の幸福』（*1）のギャングのボスの一の子分Joy Boy役で、 ２年連続アカデミー助演男優賞にノミネートされている(*2)。

その後、『泥棒がいっぱい』(1966)などの出演を経、1968年、刑事コロンボ・シリーズの パイロット版ともなった「殺人処方箋」に。70年代にはテレビでコロンボを演じながらの 映画出演となる。

『最高のルームメイト』(1995)特殊メイクを施して老人になったり （メイクとメイク落としに４時間かけたそうな）、 コロンボとして復活したりと活躍ぶりを見せていたが、2011年6月23日アルツハイマー合併症にて、この世を去る。

*1…… フランク・キャプラ監督の『一日だけの淑女』(1933)を、キャプラ自らがリメイクした作品。 因みにジャッキー・チェンの『奇蹟＜ミラクル＞』も、同じ題材を扱っている。
*2…… 1960年のアカデミー助演男優賞は『スパルタカス』のピーター・ユスチノフ、1961年は 『ウェスト・サイド物語』のジョージ・チャキリスが受賞した。

PETER FALK as Himself

『ベルリン・天使の詩』(1987)では、本人役で出演。 ベルリンでのロケを見物に来た子供たちに
「コロンボ！コロンボ！」
と追いかけられるシーンを見ると、どこの国にもコロンボ・ファンがいるんだな、 と微笑ましくなります。

『ザ・プレイヤー』(1992)では、ラスト近くに登場。 「映画中で記者役を演じるピーター・フォーク」役。
死刑囚ジュリア・ロバーツをガス室のガラスの向こうで見つめています。

Filmography （日本公開作） 日本未公開作を含む原題によるフィルモグラフィはこちら。

日本公開作（ビデオ発売のみも含む）で、 なおかつ邦題が確認できたものを掲載。
年度はthe Internet Movie Databaseのものに統一してあります。