シンクタンクの若手研究員、ニール・ケーヒル(ロバート・ウォーカー)は分子構造に関する論文により
科学賞の受賞が決まった。しかしこの論文、ほとんどはシンクタンクの先輩研究員の功績であり
彼はそれをまとめただけの物だった。論文を盗用することは彼の本意ではなかったが、
進言したのが彼の偉大なる父でありシンクタンクの所長であるマーシャル・ケーヒル(ホセ・ファーラー)とあって
は従うほかない。
もちろん論文の盗用は父子だけの秘密だ。
だがすでに秘密は漏れていた。
ベテランの研究員、ハワード・ニコルソン(ルー・エアーズ)がマーシャルのオフィスを訪ねてきた。
彼はマーシャルにニール自らが論文の盗用を世間に公表し受賞を辞退するよう父親が促すべきだと
説得しに来たのだ。彼の提案を突っぱねるマーシャル。
ハワードはもしニールがこの事実を公表しない場合、
自らが公表する事になるのでよく考えてほしいと言い残しオフィスを後にする。
翌日、ハワードが自宅で倒れている所を彼の妻、マーガレット(ジェシカ・ウォルター)に発見された。
研究室からはヘロインが紛失。
しかしコロンボ警部の興味は行方不明のハワードのパイプと灰皿に残っていたマッチの燃えかすに
向っていた。コロンボは彼の“犬”と共に研究所内をうろつきだす。
研究所に勤務(?)する天才少年スペルバーグ(リー・H・モンゴメリー)とコロンボの会話、
「わー、警察犬!?」「警察犬じゃなくて警察官の犬!!」が楽しい。
『禁断の惑星』(1956 フレッド・M・ウィルコックス監督)のロボット
"ロビー"と、天才少年スティーブン・スペルバーグ(もちろんスピルバーグをもじった名前)がチェスを指す
シーンが出てきた時点で
「あ、だめだ、こりゃ」と思わされた。
こともあろうか、ロボットをアリバイ工作に使うという体たらく。挙げ句の果てには人情に訴えて犯人
(ホセ・ファーラー)に自白させるやり方は、
「コロンボよ、あんたはいつから大岡越前になったんだ?」
と言いたくなる。名優ホセ・ファーラーを起用しながら、ワースト3に入る一本に。
"ロビー"は「トワイライト・ゾーン」など、他のテレビ番組でも使い回されている。
「愛情の計算」で"MM7"(Mickey Mouse 7)となったロビーは、2本脚を台車に変え、
胸のパネルに手直しをされて登場。
コロンボの"いぬ"が、調教学校を退学になるというお遊び的エピソードも。
また、ペンをよくなくすコロンボは、メモ帳をやめ、テープレコーダーに「声のメモ」をとるようにする。
これは「第三の終章」で、
作家がテープを使って口述筆記をしていたのに影響されたのだろうか?
しかし結局途中で止めてメモ帳に戻ってしまう。やっぱり(^^;
ケーニヒ(ホセ・ファーラー)の息子ニール(ロバート・ウォーカー)の声を原田大二郎が。