凝ったトリック、アンティークな装飾、不穏な天候、チャイコフスキーの楽曲。
クラシック・パズル風の趣で、殺人犯のトリックの最後の1ピースは事件の解決まで
伏せられている。本物のパズルも出題されますのでコロンボ警部と一緒に考えてみるのも
いいかもしれません。
I.Q.に秀でた者の集まり、シグマ協会。会計事務所を共同で開いているブラント(セオドア・バイケル)と
バーティ(ソアレル・ブック)も共に協会会員だ。
2人は高校時代からの友人同士。が、常にからかいの対象にされるバーティは
不満を抱いていた。
今夜も2人はシグマ協会でふざけあい、それがもとで衝突する。
しかし今夜は今までとは違う事が起きた。ブラントが会計事務所の公金を横領している事実を
知っていると、バーティーが口走ってしまったのだ。
だがブラントは慌てなかった。実は気づかれている事をすでに知っていたのだ。
計画どおりバーティを射殺。そしてアリバイ工作のためのトリックを実行する。
途中、ブラントがコロンボ警部に出題するパズルは次のようなもの。
『金貨の入った袋がいくつかある。その中の金貨の枚数は任意である。
いくつかの袋のうち、1つの袋は中身が全て偽の金貨である。
本物の金貨と偽の金貨では重さが違う。
秤を1度だけ使って偽金貨の入った袋を見つけ出すには、どうすればいいか?』
トリック勝負、という感じの作品。どうやって殺したのか、というのがコロンボに与えられた課題だが、
その課題はラストでいとも簡単にクリアされている。コロンボ曰く、シグマ協会の会員たちに
手伝ってもらったということだが、これが見ている側にとっては拍子抜けする。
トリックに執心するあまり、犯人が見落としていた何かをコロンボが見つけて、
それを決め手にした方が面白かったかもしれない。
レストランのつっけんどんなウェイトレス役に、ジェイミー・リー・カーチスが。この翌年、『ハロウィン』(1978 ジョン・カーペンター監督)で、スクリーン・デビュー。
1997年記