殺人講義/COLUMBO GOES TO COLLEGE
米1990/12/9 日1994/5/6

監督 E.W.スワックハマー
脚本ジェフリー・ブルーム
ゲストスター ステファン・キャフリー
声:大塚明夫
ゲイリー・ハーシュバーガー
声:山寺宏一
犯人の職業大学生
被害者犯罪学者・大学教授
 /ラスク
殺害方法射殺


Introduction

フリーモント大学の学生ジャスティン(ステファン・キャフリー)は、同大学の法律顧問を父に持ち、 こっそり父親の電話を盗聴したり、手紙を盗み読んで、学内の情報に精通していた。
彼は受講している犯罪学の試験問題を盗み、友人のクーパー(ゲイリー・ハーシュバーガー)にも その情報を流していたが、それがラスク教授にばれてしまう。
「単位を与えないか、放校」
ラスクはそう言うと、二人の弁解にも耳を貸そうとせず、そのまま大学のオフィスを後にする。
地下の駐車場から車で出てゆくラスク。それをやはり車で追う二人。
ラスクは後をつけられていることに気づかず、近くのレストランで、大学のバスケットチームの監督夫人・ ジューン・クラークと落ち合う。二人は不倫関係にあり、大学中の噂にまでなっていた。
しかしジャスティンとクーパーが覗き見ているうちに、ジューンはラスクに罵声を浴びせ、 店から出ていってしまった。

その夜、ジャスティンとクーパーはラスク殺害を決意する。
ジャスティンは「ハーバードのロースクールに入れないと、親父に生皮をはがされる」し、 クーパーもガールフレンドに堕胎させたことを父親に叱られたばかりで、 今度やっかいを起こしたら勘当されかねない。
幸いラスクには敵が多い。犯罪学者の彼は著書の中で、犯罪に関わる上院・下院議員、軍需産業のトップらを 実名で告発しており、「殺す」という脅迫状も来ている。それに今日見た恋愛関係のこじれもある。
捜査の矛先が自分たちに及ぶことはない…。
彼らは警備員・ジョー・ドイルの隙を見て、彼の自宅の合い鍵を作った。そして彼の45口径の銃を盗み出した。

ロス市警から刑事が特別講義にやってくる日、ジャスティンは「試験問題を盗んだ件で、父にあってほしい」と、 ラスクに頼む。ラスクも大学の法律顧問の息子の頼みだけに、むげに断れず、講義の最中に抜けだし、 近くのレストランで会うことを約束する。

ロス市警の刑事−コロンボが体験を交えた講義で教室を沸かせていた。 教室にはジャスティンもクーパーもいる。
ラスクはジャスティンの父親・ジョーダン・ロウ( ロバート・カルプ)に会うために教室を抜け出し、地下駐車場へ。 ジャスティンたちはラスクが出てゆくのを見届けると、隠し持った何かを取り出した…。


講義を終えたコロンボと学生たち−その中にはあの二人もいる−が、一杯飲みに行こうと降りてくると、 駐車場には頭を撃ち抜かれたラスクの死体が。


視聴者には犯人が二人の学生だと分かっている。しかしどうやって殺したのか、そして(いつもの様に) コロンボがどうやってそれをつきとめるのか…伏線は冒頭にある。


Impression & Trivia

コロンボが大学で講義をし、その最中に大学の別の場所で殺人が行われるという設定を、 アルフレッド・ローレンスが“コロンボもの”として書いたオリジナル小説『13秒の罠』 (二見文庫 原題:Columbo: The Dean's Death)から、そして後半のトリックを 「権力の墓穴」から採り、それを現代風に味付けしました、というエピソード。

「権力の墓穴」でR・カイリーが演じていたL.A.P.D.次長マーク・ヘルプリンの役を、犯人(今回は2人)と、 その片方の父親(R.カルプ)に振り分けているので、それぞれの人物としてのインパクトは ヘルプリンの1/3。G・ハーシュバーガー扮するクーパーに至っては、 展開上、いなくても良かったのでは…と思えるが…ジャスティン(S・キャフリー)に 「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な感覚で、殺人を動機づけるためだけにいたような…。
「現代っ子っぽさ」の表現だろうか。

講義の中で学生に「証拠のねつ造」について聞かれ、はぐらかそうとするコロンボ。 結構「ねつ造」してますから(^^;
因みに話をそらせようとして話すのは「完全犯罪の誤算」の 一件。

見ていて気になるのが学生の明るさ。
教授が殺されて、その犯行の再現を嬉々として演じている。そんなものなのかな。
1997年記