フリーモント大学の学生ジャスティン(ステファン・キャフリー)は、同大学の法律顧問を父に持ち、
こっそり父親の電話を盗聴したり、手紙を盗み読んで、学内の情報に精通していた。
彼は受講している犯罪学の試験問題を盗み、友人のクーパー(ゲイリー・ハーシュバーガー)にも
その情報を流していたが、それがラスク教授にばれてしまう。
「単位を与えないか、放校」
ラスクはそう言うと、二人の弁解にも耳を貸そうとせず、そのまま大学のオフィスを後にする。
地下の駐車場から車で出てゆくラスク。それをやはり車で追う二人。
ラスクは後をつけられていることに気づかず、近くのレストランで、大学のバスケットチームの監督夫人・
ジューン・クラークと落ち合う。二人は不倫関係にあり、大学中の噂にまでなっていた。
しかしジャスティンとクーパーが覗き見ているうちに、ジューンはラスクに罵声を浴びせ、
店から出ていってしまった。
その夜、ジャスティンとクーパーはラスク殺害を決意する。
ジャスティンは「ハーバードのロースクールに入れないと、親父に生皮をはがされる」し、
クーパーもガールフレンドに堕胎させたことを父親に叱られたばかりで、
今度やっかいを起こしたら勘当されかねない。
幸いラスクには敵が多い。犯罪学者の彼は著書の中で、犯罪に関わる上院・下院議員、軍需産業のトップらを
実名で告発しており、「殺す」という脅迫状も来ている。それに今日見た恋愛関係のこじれもある。
捜査の矛先が自分たちに及ぶことはない…。
彼らは警備員・ジョー・ドイルの隙を見て、彼の自宅の合い鍵を作った。そして彼の45口径の銃を盗み出した。
ロス市警から刑事が特別講義にやってくる日、ジャスティンは「試験問題を盗んだ件で、父にあってほしい」と、
ラスクに頼む。ラスクも大学の法律顧問の息子の頼みだけに、むげに断れず、講義の最中に抜けだし、
近くのレストランで会うことを約束する。
ロス市警の刑事−コロンボが体験を交えた講義で教室を沸かせていた。
教室にはジャスティンもクーパーもいる。
ラスクはジャスティンの父親・ジョーダン・ロウ(
ロバート・カルプ)に会うために教室を抜け出し、地下駐車場へ。
ジャスティンたちはラスクが出てゆくのを見届けると、隠し持った何かを取り出した…。
講義を終えたコロンボと学生たち−その中にはあの二人もいる−が、一杯飲みに行こうと降りてくると、
駐車場には頭を撃ち抜かれたラスクの死体が。
視聴者には犯人が二人の学生だと分かっている。しかしどうやって殺したのか、そして(いつもの様に)
コロンボがどうやってそれをつきとめるのか…伏線は冒頭にある。
コロンボが大学で講義をし、その最中に大学の別の場所で殺人が行われるという設定を、
アルフレッド・ローレンスが“コロンボもの”として書いたオリジナル小説『13秒の罠』
(二見文庫 原題:
Columbo: The Dean's Death)から、そして後半のトリックを
「権力の墓穴」から採り、それを現代風に味付けしました、というエピソード。
「権力の墓穴」で
R・カイリーが演じていたL.A.P.D.次長マーク・ヘルプリンの役を、犯人(今回は2人)と、
その片方の父親(R.カルプ)に振り分けているので、それぞれの人物としてのインパクトは
ヘルプリンの1/3。G・ハーシュバーガー扮するクーパーに至っては、
展開上、いなくても良かったのでは…と思えるが…ジャスティン(S・キャフリー)に
「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な感覚で、殺人を動機づけるためだけにいたような…。
「現代っ子っぽさ」の表現だろうか。
講義の中で学生に「証拠のねつ造」について聞かれ、はぐらかそうとするコロンボ。
結構「ねつ造」してますから(^^;
因みに話をそらせようとして話すのは「完全犯罪の誤算」の
一件。
見ていて気になるのが学生の明るさ。
教授が殺されて、その犯行の再現を嬉々として演じている。そんなものなのかな。